キッチンやリビングと連続する南面の特等席にお子さんの居場所がある。場合に応じて半透明の引き戸を開閉

バリアフリーとリラックス
両方に配慮した2世帯住宅

山形市・Sさん宅 / 新築

Sさん宅はご夫妻と小さいお子さん、ご両親が暮らす5人家族。お子さんに障害があるため介護しやすい住空間を求めていたことと、両親が暮らす実家が建て替え時期を迎えていたことから、2世帯同居を計画しました。「以前から家づくりの姿勢や性能に対する考え方に共感し、依頼するなら建築工房ORKSと決めていました。たまたま妻の友人がスタッフにいて、わが家の事情をご存じだったので相談もしやすかったですね」。

家づくりで何より優先したのはお子さんのこと。最も陽当たりの良い1階南側、リビングの一角にベッドを置くスペースを設け、キッチンに立っている時もリビングにいる時も、常に見守ることができるのがポイントです。ほかにも、どんな広さや動線が必要で、どこに電源があれば便利なのかなど、家族の介護経験に基づいてきめ細かにプランニング。当初1階と予定していた親世帯は2階に変更しましたが、ホームエレベーターを導入したので移動は楽々です。また、暖房には空気を汚さず輻射熱で優しく暖めるパネルヒーターを採用し、温熱環境的なバリアフリーも実現しています。

ただし、介護だけを目的にした住まいではありません。さまざまな制約があっても、家族の誰もが楽しく、リラックスして過ごせる空間を目指しました。例えば、浴室にはスチームサウナの機能を付加。「両親はバスタブに浸かりたい派ですが、私はほぼ毎日サウナ。どちらにも使えるのがいいですね」とご主人。自宅にいながらにしてくつろげるサウナは、Sさん家族にとって贅沢品ではなく、むしろ必需品になっています。

Reported by Replan
キッチンから見る。視線、動線、収納スペースなど実際の生活と介護シーンを想定したプランニング
料理しているときも子どもの様子がわかるよう、間仕切り壁には大きな窓を設けている
広々とした2階フロア。家族そろって食事をする時には、広さに余裕のあるこの親世帯に集まることが多い
親世帯のリビング。窓下には写真を飾ったり大量のアルバムを並べたりできるワイドな収納棚を造作
介護用バギーのスペースを設けたワイドな玄関ホール。床はフルフラット。共有玄関だが階段またはエレベーターで2階に直行も可
雨に濡れず出入りできる広い玄関ポーチ。レッドシダーの断熱玄関引戸がご主人一番のお気に入り
北側から見る外観はすっきりモダン。2階の小窓がアクセント
DATA
■家族構成 夫婦30代、子ども1人、両親
■構造規模 木造(在来工法)・2階建て
■延床面積 209.99㎡(約63坪)

■主な仕上げ
<外部> 屋根/ガルバリウム鋼板、外壁/アイジー工業 ガルバリウム鋼板・WILL WALL、建具/玄関ドア:コシヤマ 木製断熱引戸、窓:樹脂サッシ(Low-E・ペアガラス)
<内部> 床/1F:クリ無垢フローリング・2F:複合フローリング、壁/吉野石膏 塗壁 ケンコート・クロス・MORTEX・タイル、天井/吉野石膏 塗壁 ケンコート・クロス
■断熱仕様
<外張断熱+付加断熱> 基礎/スタイロフォームAT50㎜+スタイロフォーム3種50㎜・外周部土間:スタイロフォーム50㎜、壁/アキレス 硬質ウレタンフォーム断熱材 キューワンボード50㎜、屋根/セルロースファイバー235㎜+アキレス 硬質ウレタンフォーム断熱材 キューワンボード50㎜
■暖房方式 パネルヒーター

■住宅性能
<断熱性能> UA値:0.42W/㎡K
<気密性能> C値:0.26㎠/㎡